遺産相続した不動産を放置する損失

 不動産を遺産相続したものの、使い道がなく、放置している例が見られます。たとえ使用していなくても、固定資産税はかかり続けます。遺産相続する場合は、一部だけ相続することはできないため、その不動産の使い道がなくても、他の遺産を相続するために、やむなく不動産も相続したというケースもあることでしょう。
 遺産相続した不動産は、使い道がないことがはっきりしている場合は、なるべく早めに手放すことが望まれます。所有している限り、放置していようと、固定資産税を支払うことになります。建物自体に価値がなく、固定資産税がかからない場合でも、土地にはかかります。東京、大阪といった大都市ともなると、土地に対する固定資産税は相当なものになります。
 人に貸せる場合や、やがて自分が使う可能性がある場合は持っていてもいいでしょうが、その場合は、誰かが使用するようになるまでのメインテナンスが必要になります。メインテナンスしていくためには、電気と水道だけは止めるわけにはいきません。それらの基本料金を毎月支払っていかなくてはなりません。その額が、時には固定資産税を上回る可能性もあるでしょう。

 遺産相続した不動産は、扱いの決断を先延ばしにせず、相続してからなるべく早いうちに処分したほうがいいでしょう。不動産を持っていれば、値上がりするのは確実で、いずれは高く売れるといった時代は過去のものとなっています。戦後、土地が右肩上がりだった時代が相当長く続いたため、今でもそうしたイメージを持ち、土地や建物を持ち続けることを肯定的に考える人々もいますが、現状は一変しています。バブル崩壊が大きな転換点だったことは言うまでもありませんが、現在は次の大きな転換点であるとも言えます。戦後初めて人口が減少に転じたためです。
 人口減少時代を迎え、日本は国土が狭いわりに人口密度が非常に高く、土地が不足している、という前提も、くつがえりつつあります。1億数千万の人口に合わせて建物もつくってきましたが、今後は建物も余っていくでしょう。これまでのような考え方は、まったく通用しなくなってきました。大きな転換期にあるわけですから、それに合わせて臨機応変に対応していくことが求められます。遺産相続した土地建物は、使用方法を早めに決断することです。現時点で使用しないなら、その後使用することになる可能性も低いと割り切ることが大事です。時代は大きく変わってきています。

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